日本国内のみならず、韓国・中国への活魚輸送を手掛け、業界のパイオニアとして名高い、神奈川県三浦市の株式会社山立水産運輸様。厳格な品質管理と万全の輸送体制で、日本の海の幸を新鮮直送するサービスの提供に強みを発揮されています。UDトラックスのトラクターを数多く導入いただいている理由について、当社の志村が、社長の立川様にお伺いしました。
鮮魚仲買人から一転して起業。海外出荷まで手掛ける先駆者
(志村) 御社では活魚運搬車による、生きたままの魚介類輸送に強みを持たれていますが、まずはその創業について、お話をお聞かせください。
(立川)もともと私は鮮魚の仲買人をしており、会社設立前は活魚輸送を業者に依頼していました。ある時期から「より鮮度の質を向上させるにはどうすればよいか」を考え、結果、自分で運んでみようと思い立ち、中型トラック1台から輸送を始めたのがきっかけです。当初は仲買人をしながらでしたが、数年経ってトラックが6台ぐらいに増え、水産輸送事業を本格化したのが創業の経緯です。
(志村)扱っている魚介類の種類はどのようなものでしょうか。また、輸送範囲はどこまででしょうか。
(立川)現在、売上の6割を活魚が占めています。主にフェリーを使い、四国や九州への往復輸送だけでなく、北上するケースもあります。北海道各地で蟹やホタテを積んだあと、フェリーで、舞鶴・名古屋・北九州へと移動し、さらに博多港から海を渡って韓国や中国まで走り、ヒラメなどを積んで戻ってきます。一度出発すると、一週間は帰らない時もありますね。活魚輸送に関して、安全・確実に運ぶノウハウを蓄積しているのが当社の大きな強みです。
活魚輸送から次のステージへ。新規事業への新たなシナリオ
(志村)近年、御社で始められた新規事業の案件についてお聞きしたいのですが。
(立川)私は数年前から、横須賀地区貨物自動車協同組合の代表理事をしています。この協同組合は、トラック運送事業の社会・経済的な活動を一層高める業務を行い、組合員の相互扶助の必要性を踏まえ、諸先輩方が設立されました。以前から、横須賀市と協同組合とで協力して、フェリー就航の誘致をしていました。2021年に「東京九州フェリー」横須賀〜新門司の航路が決まり、新規事業として海運モーダルシフトを活用したフェリー輸送の業務を開始。1社だけが取り仕切るのではなく、組合員の有志で別会社として横須賀ロジスティクスホールディングスを立ち上げました。現在、横須賀市の発展と経済成長の牽引役として期待されています。
(志村)その海運モーダルシフトについて、もう少し詳しくお聞かせください。
(立川)当社活魚輸送のフェリー便は、ドライバーも一緒に乗船する有人航送ですが、この新会社で立ち上げた事業では、フェリーに乗り込んだらシャーシを一旦切り離し、新門司に着くと協力会社のトラクターが再度牽引して目的地まで積荷を運ぶ共同輸送の形式をとっています。現在は九州だけでなく、北海道や新潟にもフェリーを使っての運用を展開しています。積荷の種類は、九州へは日用品雑貨、北海道からは農作物、新潟からは菓子類を大量に一括輸送しています。「海のバイパス」と呼ばれるフェリー便を使う海陸一貫輸送は、当社にとっても欠かせない輸送手段のひとつになっています。