創業68年という長い歴史をもつ輸送会社、株式会社トーリク様。関東圏・中部地方を中心に15の事業拠点で営業し、幅広い輸送ネットワークをもつ勢いのある企業です。多くの顧客から同社が選ばれてきたその経緯、そしてUDトラックスのフラッグシップ大型トラックQuon(クオン)を導入した理由について、当社の堀井が、会長の鈴木様にお伺いしました。
経営課題は人材育成からオーナー企業からの卒業
(堀井) 社長職を勇退され今は会長として手腕を発揮されている鈴木様ですが、経営課題として重要にとらえているポイントは何かございますか?
(鈴木) 喫緊の経営課題であれば、慢性的なドライバー不足や高齢化の問題。また、原油価格高騰による燃料費の問題で、業績の変動が大きいことですね。長期的な課題では、人材育成の問題があります。私は2010年にトーリクの社長に、会長職は2017年に就任したのですが、それまでのトーリクはオーナー企業でした。上から言われたことはどんなことがあっても、忠実に絶対にやり通す。一体感があり、もの凄くまとまりがある体育会系的な会社でした。大事なことはすべて上が決め、指示待ちの状態。その代わり決めてくれたら何でもやりますよという……。強みのように見えて、裏返すとそれは弱みでもあるんですね。社内で議論したり、社員が自発的に意見を出し合ったり、そんな体質の会社に変えなくてはいけないと思いました。私が着任してからの経営課題というのは、オーナー企業の不断の努力の良さが故に、組織として弱い部分があったというのが本音です。
ロジスティクスの強力化は物流センターで決まる
(堀井) 今でも企業の磨き上げや組織改善は、続いてはいるのでしょうか?
(鈴木) 以前の弊社は、オーナー企業なので営業部隊がいない、請け負った仕事をしっかり守っていくスタイルの会社でした。加えて、トラックは保有しているんですが、拠点が充実していなかったこととシステムを持っていなかったため、そうした弱みを補うための投資を実施しました。物流を伴うロジスティクスは、システムがないと他社と競争ができません。今後、事業を拡大していくにあたり、物流センターをさらに新設したいという考えはあります。弊社は、荷物を一時保管するための場所としての機能だけではなく、ロジスティクスの強力化を担う場所として物流センターを運用しています。今は群馬と小牧に大きな物流センターがありますが、既存の小さい倉庫を統廃合していき、希望ではあと2ヵ所ほど関東に増やしたい。やはり車両を持って、拠点を持って、システムを持っていないとロジスティクスの営業はできないですね。「倉庫が空いてるから使えます、トラックが余ってるから運びます」だけでは、差別化も図れないし競争もできない。お客様に対してソリューションのご提供は難しいと思います。
輸送の安全は何ものにも勝る安心・安全なくして信頼なし
(堀井) 御社の特色でもある、安全に対する取り組み方についてご教示ください。
(鈴木) いま行っている多くの安全施策はホームページに載せています。手を替え品を替え色々と試行錯誤していますが、運送業界の中で弊社ほど安全に力をいれている企業はほかにないと自負しています。3年前から始めて、手応えを感じているのは「コメンタリー運転」です。
(堀井) 刻々と移り変わる道路や交通の状況について、声に出すことによって安全意識を高める運転方法ですね。
(鈴木) そうです。あたかも実況放送をしているように話しながら、走行する運転方法です。注意力の低下を防ぎ、危険に対する警戒心を高めることができます。月替わりで、声出しのメニューを変えているのですが、例えば、今月は信号機の確認。翌月は、一時停止。マンネリ化しないように、テーマを変えています。ドライバーに対して安全運転に注意しろと言っても、常に見張っていることはできません。ドライバー自身が行動に繋がる言葉で安全意識を高めるのは、効果的だと思いました。
(堀井) ドライブレコーダーに関しても御社の特色があるとお聞きしましたが?
(鈴木) ほかの運送会社さんもドライブレコーダー導入は必須と思いますが、弊社では安全管理部署が全車のデータをすべてチェックしています。例えば、割り込みをされた・車間距離の詰めすぎの癖・その他のヒヤリハットなど……。テーマ別に見える化することで、全社展開でKYT(危険予知訓練)のトレーニングを実施するようにしています。運転中に遭遇する様々な道路交通のシーンで、事故原因になる危険要因を事前に予測し、的確に危険回避をする日々の訓練が必要だと思います。
(堀井) 自社データを分析したものですから、いつかは自分の身に起こるかもしれないという危機感が高まり、より注意喚起・事故防止の効果が期待できそうですね。私も微力ながらトーリク様に保安部品のご提案をし、安全性向上のお手伝いをさせていただきました。ハイルーフ後部の上側に装着するLED車高灯です。高い位置にも設置することで、後続車からの視認性を高める効果があります。特に夜間における、追突事故・巻き込み事故の危険性を低減させることができます。御社の安全輸送に寄与すると思い、ご担当の方にお試しでの装着をご提案させていただきました。以後、トーリク様には、すべてこの保安部品を標準装備として納車させていただいております。