九州全域で、主に冷蔵・冷凍の輸送を中心にさまざまな積荷の配送をし、業績を伸ばしている藤野運輸興業株式会社様。設立31年目の若い会社ながら、多種多様な運送にチャレンジする新進気鋭の企業に成長したその経緯や、昨年、Quon(クオン)のUDアクティブステアリング搭載車を導入した理由について、当社の江藤が、藤野様にお伺いしました。
先代のいい部分を引き継いで従業員の満足度を高めたい
(江藤) 二代目代表になられて、はや2年が経つ藤野社長ですが、先代の時と比べて特に重要な経営課題はございますか?
(藤野) お客様との関係性を強くするために、従業員の満足度をさらに高めたいと考えています。労働環境を改善し、離職率を低くし、人の定着率を良くしようと努力しています。「2 0 2 4 年問題」を見据えて、社内の働き方改革を少しずつ進めているところです。働く時間を抑制しつつも、給料が下がらないような労働環境を目指していますね。働く環境を今より良くして人を呼び込み、売り上げを安定させていく。お客様に対して、それは「営業の強み」でもあると思っています。
(江藤) 離職率が低い御社ですが、何か具体的な要因はございますか?
(藤野) 私が代表になってからは、地場の配送へかなりシフトしました。以前は長距離が多かったのですが、きちんと毎日家に帰って、休日も多くなれば、働きやすい職場に生まれ変わり、従業員の満足度も高まります。7年前、先代社長の頃から徐々に変えていきましたね。今までの特積みをやめて、手積み・手降ろしから、大量に商品を運べるパレット輸送を取り入れ、業務効率化や物流の負荷軽減につなげています。荷役の時間が短くなるほど、労働環境も良くなっていきますね。
(江藤) トラックドライバーの意識として、昔と今で大きな変化はありますか?
(藤野) 昔のドライバーは、ガンガン走って稼ごうという考えの人が多かったです。輸送の需要は、業界的にも今後伸長する見込みですが、労働時間に制限もあるため、収入面以外のポイントで働き手に選ばれる企業になることが重要です。そのためには、労働時間ができるだけ短く、休日が多いうえである程度の給料がもらえる労働環境を整える必要がある。働きやすさを優先した、時流に乗ったビジネスを展開したい考えはありますね。
Win-Win-Winの関係を保ち「三方良し」で乗り越えていく
(江藤) これからの物流業界に向けて、新しい考え方があるとお聞きしました。
(藤野) ワークライフバランスをしっかり保ち、従業員満足度を上げていくことで、質のいいドライバーが集まり、その結果、高品質な輸送を提供でき、お客様の信頼度も上がります。特に弊社の主力である冷凍輸送は、温度・品質管理が大切な商品なだけに、お客様に信頼いただけるようドライバーへの知識・技術指導に努めています。そうすることで、「お客様・従業員・弊社」とWin-Win-Winのいい関係を築き、それが最終的に会社の繁栄や利益に繋がっていく。まさに「三方良し」の考え方ですね。これから迎える急激な時代変化の波に、柔軟に対応していける運送会社に成長できると確信しています。
(江藤) 仕事柄、多くの輸送事業者様を拝見していますが、従業員さんを大事にされている雰囲気は特に感じますね。私は先代の時から存じていますが、昔のいいところをそのまま引き継ぎ、今の代表のやりたい方向へ、さらに会社を良くしていこうとシフトされている印象ですね。
仕事とプライベートの両立は会社の収益にも繋がっていく
(江藤) 従業員さんの満足度を高めるためにさまざまなアイデアや、働き方の体制づくりをしていると伺っています。その辺りの秘策をお聞かせください。
(藤野) 今までは配送の仕事をこなして売り上げがあればよかったのですが、それが「2024年問題」の関係で達成が難しくなります。次の一手としては、今まで曖昧だった安全走行や燃費の良い走り方の部分をしっかりと評価して、各人が安全で環境にいい走りをすれば、給料がちゃんと担保できるというシステムを構築中です。具体的には「点数制度システム」です。安全運転をしなさいだとか、燃費を伸ばしなさいとかを口頭で言っても漠然としたもの。頑張っても個人には反映されるものではないので、目に見える形にして還元し、給料評価を行って、社員のモチベーションを上げるシステムです。理想ですが月10日の休みでも、今とあまり変わらないような給料体系にしていきたい。仕事とプライベートの両立で成り立つ、新しい経営スタイルです。