京都市内で、主に自動車部品を運搬する有限会社エムテック様。より安全・安心な物流サービスを形作り、独自の輸送ルートを開拓されています。ピンチを乗り越え、成長を遂げた逆転ストーリー。その経緯と原動力、そして最近UDトラックスのQuon(クオン)を導入した理由について、当社・若杉が、森田社長にお伺いしました。
従業員を想う働き方改革健康経営こそ会社の責務
(若杉) 元UDトラックスの営業部で車両販売を担当されていた経歴をお持ちの森田社長ですが、独立し輸送事業を立ち上げられて以来、特に経営課題と捉えていることはなんですか。
(森田) 第一は、従業員の健康管理ですね。最近では、全社員が人間ドックを強制的に受けるよう指示しました。単なる健康診断だけでは見落とされてしまう可能性もある症状をいち早く発見することができます。従業員の健康は、会社の資本です。健康を守る福利厚生の充実には、大きく力を入れています。加えて、やはり安全輸送ですね。エムテックでは、荷役もすべて請け負います。商品の事故はもとより、パワーゲートからの転落事故など運転手自身に関するもの、労災に当たる事故にも十分気をつけています。もちろん、デジタルタコグラフとドライブレコーダーも、所有するすべての車両に装着済みです。「ドライバーファースト」の意識を、具体的な行動を通して発信していく努力が必要です。従業員一人ひとりの負担を軽減し、気持ちよく仕事ができる環境の良い職場をつくる。それは僕ら輸送事業者の責務だと思います。
エムテック史上最大のピンチ倒産寸前の危機を迎える
(森田) ちょうど10年前、積荷、車両ともに大きく損傷してしまう事故を起こしてしまいました。新聞やテレビでもニュースになり、車両の損害や、荷物の弁償、現場の賠償など色々な問題を抱え、経営的にかなり苦しい時期を迎えました。倒産が、毎日目の前をちらつくような状態です。そんな最悪の事態が約2〜3年続きましたが、ありがたいことに従業員のみんなは、ほぼ辞めずに、僕について来てくれました。あの窮地から立ち上がって、今のエムテックが再び急成長を遂げている大きな要因は、従業員のおかげかなと思っています。当時は、主要な荷主企業の方も当社の資金不足を知っているので、支払いを早めていただいたり、応援してくれる輸送事業者の方も多数ありました。その頃協力いただいた事業者の皆さまは、今でもお付き合いをしているところがほとんどですね。
(若杉) 大変なご苦労をされたと伺っています。その頃は弊社も、出来る限りの様々なお手伝いをさせていただきました。
どん底から這い上がったV字回復の秘策とは?
(若杉) 資金繰りなど、不安な毎日を過ごされたと思います。その後の業績回復の要因、会社の存続をかけた試みがあると伺いましたが、どういった挑戦だったのでしょうか。
(森田) いつまでも会社は、そんな低空飛行を続けていてはいけませんので、様々な改善を図りました。活路は「1車2人制」の導入です。どういうことかというと、まず昼勤のドライバーが車庫を朝出て行って夕方帰ってきます。そこでドライバーだけが交代します。そして同じ車でまた夜勤輸送をするわけです。同じトラック1台分で2台分を稼ぐ。10台で20台分、20台で40台分の売上げが回収できます。トラックの稼働は上がりますが、丁寧に乗ればメンテナンスコストを低減することができます。駐車代も10台分でいいし、車の返済額も半分でいい。多くの点で利益率が高いのです。人件費は2人分の給料がかかりますが、車両の減価償却は半分になりますよね。今思えば、この方針を徹底していったことが改善の兆しだったのかなと思いますね。